September 04, 2008

レイアウト裏話

作画打ち合わせを終えた原画マンの最初の仕事が、絵コンテに基づいた各カットの設計、つまりレイアウトです。レイアウトは一旦回収され、演出や作監のチェックを受けます。OKになったレイアウトが戻ってきたら原画を描き始めます。

レイアウトはアニメーターとしての画力と映像センスがモロに出るものです。初めて組む演出や作監には、自分の実力をさらけだすことになり、かなり緊張します。通常はレイアウトを描いただけでは請求はできません。ギャラは原画に対して払われるからです。ある意味、原画より重要な作業なのに、レイアウト料はタダってのはヘンですけどね。
原画の作業がスケジュール内に終わらないことを「こぼす」と言います。こぼした分は「引き上げ」と言ってレイアウトが制作に回収され、別の原画マンに渡ります。引き上げられた分は、完全に自分の手を離れます。助っ人原画マンに対しては、レイアウトがすでにあれば、依頼しやすくなります。手伝う側もレイアウトしなくて済むからちょっと得です。しかも、うまい原画マンが描いたレイアウトなら原画も起こしやすいし、勉強になります。逆にヘタクソだったりいい加減だったりすると、原画が描きにくいものです。レイアウトからやった方がはえーよ、とボヤきますが、レイアウトは背景との兼ね合いも大きいので変更できません。

俺も手伝いをしたことが何度もあります。仲間同士助け合うのも大切なので、無理でない限り断わりません。その段階ではスケジュールに余裕がないわけで、徹夜仕事が続くこともあります。自分では「こぼし」たり「引き上げ」られたりするのはプロとして屈辱に感じているので、そうならないように気を付けてはいましたが、1度だけ引き上げてもらった記憶があります。沖縄旅行に行く時、出発直前まで仕事しても終わりそうもなく、5カットだけレイアウトを渡してお願いしたんです。このときは、5カット分のレイアウト料を請求したかもしれません。
Posted by A.e.Suck at September 4, 2008 07:36 PM