スティーブ・マックィーン
McQueen, Steve(1930-1980)
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A.e.Suckは語る

 やっぱ「大脱走」のバージル・ヒルツからですよ。私はこれで外国映画にハマったですよ。初めて見たのはゴールデン洋画劇場で、前後編で初放送した時。声は宮部昭夫でしたね。それ以来、マックィーンと言えば、宮部昭夫じゃないと納得しなかった。内海賢二じゃしっくりこなかった。だって、内海氏は黒人俳優を主に担当してたしイメージはそっち。宮部氏はカーク・ダグラスもやってたけど、「拳銃無宿」が日本で放送された時からずっとマックィーンだったのです。(*1)
 右の絵はスイス国境のフェンスをジャンプするヒルツのBMW。「大脱走」の有名なシーンだよね。脚本では列車を使うはずだったのを変更して、このチェイスを考案・自演したのはヒルツ役のスティーブ本人だけど、このジャンプだけは彼のバイク仲間(*2)であるバッド・イーキンスによるスタント。ちなみに飛び越える鉄条網はゴム製だったけど。しかし、キャストの中でも、スティーブは実際に少年院から脱走経験があるってんだから凄い。
 デビューはロバート・ワイズ監督でポール・ニューマン主演の「傷だらけの栄光」のチンピラ役。この頃、ニール(*3)の方が売れてて、彼をプッシュしたらしいんだ。ロバートは後年「砲艦サンパブロ」で、スティーブにアカデミー・ノミネートをもたらしたよ。初期のスティーブはアクション・スターって見られがちだけど、人間の描写が優れてたね。それにユーモラスな面が印象的だった。ジョニー(*4)はそのあたりを引き出すのがうまかったな。ま、「ル・マン」じゃ、脚本にドラマがないって、監督降りちゃったけど。「ダンディー少佐」でもめて、ホサれてたサム・ペキンパーと取り組んだのが「シンシナティ・キッド」だったんだけど、サムが3日でクビになってね。その後「ワイルドバンチ」で復活したサムは「ゲッタウェイ」で、やっとコンビ実現ってわけ。
 レースは好きでさぁ、バイクから4輪まで…レースで獲得したトロフィーは20個以上、特に、70年のル・マンにポルシェで出場してクラス優勝(総合2位)だもの。ジョニーが監督でF1映画も準備してたよ、フランケンハイマーに先越されてぽしゃったけど(*5)。役者とレーサー、両方やってた。実際、BMCってゆー英国の名門チームからの誘いもあって、「大脱走」の話がなければレーサーに転向してたんだ!
 ブルース・リーの葬儀にも参列してたっけ。日本にも来たよね。確か、肖像権訴訟を起こして東京地裁にやって来たんだ。

(*1)マックィーン役の声優は、他に磯部勉、寺田農がいる。
(*2)ヘンドレイ役で共演したジェームズ・ガーナーも仲良しレーサー仲間だ。
(*3)スティーブの最初のカミさん、女優のニール・アダムズ。奥さんとしての苦労話は泣ける!
(*4)言わずと知れたジョン・スタージェス監督。
(*5)レース仲間のジム・ガーナーが主演した「グラン・プリ」


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