T R I V I A of TRILOGY_

スターウォーズ特別編のエンドクレジットに登場するクルーたちは、この20年間でどうなったんでしょう?興味深い名前をいくつか紹介しましょう。

Special Photographic Effects Supervisor......JOHN DYKSTRA
 特撮の中心人物だったジョン・ダイクストラは、モーションコントロール・カメラの先駆けであるシステム、ダイクストラ・フレックスによって、ミニチュア撮影の多重合成に革命をもたらし、アカデミー賞を受賞した。彼のSFXにおける功績は大きいが、ILM(Industrial Light + Magic)の設備であるこのシステムを「宇宙空母ギャラクティカ(78)」という「スターウォーズ」の亜流映画のために無断使用したからさあ、大変!そりゃ怒りましたよ、ジョージ・ルーカスは。ILMを追われたダイクストラは、自らSFX会社アポジーを興した。当時としてはルーカスのILMやトランブルのEEG(Entertainment Effects Guloup)と並ぶ大手だったわけですが、「アルタード・ステーツ(79)」をキャンセルされ、変わりに途中参加ながら「スタートレック(79)」の冒頭シーンなどの下請け仕事にありついた。その後は「ファイヤーフォックス(82)」「スペース・バンパイア(85)」「バットマン・フォーエバー(95)」と続いて、今年は「バットマン&ロビン(97)」が公開された。
2nd Unit Make Up......RICK BAKER
 特殊メイクというパートを世界に知らしめたリック・ベイカーは、自らコングを演じた「キングコング(76)」を始め、「シュロック(71)」「グレイストーク(84)」「マックス・モナムール(86)」そして来年公開の「猿人ジョーヤング(98)」などエイプ・スーツを作らせたら世界一。「スターウォーズ」ではカンティーナのエイリアンを担当し、ノン・クレジットながら自ら演じた。アカデミー賞を受賞した「狼男アメリカン(81)」をはじめ、ジョン・ランディス作品には欠かせないアーティストで、「眠れぬ夜のために(85)」では素顔で出演もした。「ハウリング(81)」を弟子のロブ・ボッティンに引き継いで参加した「狼男アメリカン(81)」では特殊メイクによるトランスフォームを実現し、アカデミー賞を受賞した。他に「フレッシュゴードン(72)」 「悪魔の赤ちゃん(74)」「スクワーム(76)」「フューリー(78)」「ビデオドローム(83)」「コクーン(85)」「星の王子ニューヨークへ行く(88)」「エドウッド(94)」「バットマン・フォーエバー(95)」「エスケープ・フロム・LA(96)」「メン・イン・ブラック(97)」などなど、相変らず忙しい。
2nd Unit Make Up......DOUGLAS BESWICK
 ベイカーの盟友でメカニカル・エフェクトの達人、ダグ・ベズウィック。特殊メイクのマスクやスーツの内部にメカニズムを仕掛け、可動させる。「スターウォーズ」ではベイカーと共にカンティーナのエイリアンを担当し、ノン・クレジットながら出演もしている。他に「フレッシュゴードン(72)」「ハウリング(81)」「ターミネーター(84)」「クリーチャー(85)」「モンスター・イン・クローゼット(86)」「死霊のはらわた2(87)」など。
1st Cameraman......RICHARD EDLUND
 いかにも特撮監督風のリチャード・エドランドは、「スターウォーズ」ではミニチュア撮影部門のカメラマンだったが、今や大手SFX会社、ボス・フィルムのボス。「スターウォーズ」以後、ダイクストラに代わってILMの顔として「帝国の逆襲(80)」「レイダース(81)」「ポルターガイスト(82)」などメイン・ストリームを担当し、「ジェダイの復讐(83)」まで在籍した。その後、ダグラス・トランブルからEEGを受け継ぎ、ボス・フィルムを立ち上げ、「ゴーストバスターズ(84)」「2010年(84)」で華々しくスタートを切った。その後も「フライトナイト (85) 」「ポルターガイスト2 (86) 」「ビッグトラブル・イン・リトルチャイナ(86)」「マスター・オブ・ユニバース (87) 」「ダイハード (88)」「ゴースト(90)」などのSFXをプロデュース。日本に住んでたこともあって、かなりの日本びいき。日本にも進出して、学研/NHKエンタープライズ出資による「クライシス2050(90)」を製作するが、興業的には失敗。「バットマンリターンズ(91)」あたりからはCGIを本格的に取り入れ、「エイリアン3 (92)」「スピーシーズ (95)」「クローンズ (96) 」と、この部門でもILMやデジタル・ドメインに匹敵する程成長した。
2nd Cameraman......DENNIS MUREN
 エドランドの下で2ndだったデニス・ミューレンは、「帝国の逆襲(80)」のあと、2班に別れたILMにおいて「ドラゴンスレイヤー(81)」「E.T.(82)」など、エドランドとは別の作品群を受け持った。エドランドが抜けた後は「魔宮の伝説(84) 」「太陽の帝国(87) 」「ゴーストバスターズ2(89) 」の特撮監督としてILMを率いた。特に「アビス(89)」に始まるILMにおけるデジタル技術の立役者としてその地位を築き「T2(91)」「ジュラシックパーク(93) 」「キャスパー(95) 」「ロストワールド (97) 」と、常にILMをデジタル最先端へと導いている。
Assistant Cameraman......KENNETH RALSTON
 SFXカメラマン助手の1人、ケン・ローストンはミューレンと「ドラゴンスレイヤー(81)」で働いた後、visual effects supervisorの1人として新しい班を受け持ち、「カーンの逆襲(82)」「コクーン(85)」「ゴールデン・チャイルド (86)」「ロジャーラビット(88)」「バック・トゥ・ザ・フューチャー2(89)」「バック・トゥ・ザ・フューチャー3(90)」「ロケッティア(91)」「永遠に美しく(92)」「マスク(94)」「フォレスト・ガンプ(94)」「ジュマンジ(95)」など、ILMで活躍したが「アメリカン・プレジデント(95)」を最後に、長年務めたILMからソニーピクチャーズ・イメージワークスへ移ったようだ。最近は「フェノミナン(96)」「マイケル(96)」と続いて、大作「スターシップ・トルーパーズ(97)」「コンタクト(97)」の公開が控える。
Effects Illustration and Design......JOE JOHNSTON
 SFX美術監督出身の監督として思いつくのはジェームズ・キャメロンだろうけど、実は彼もそうなんだ。「ミクロキッズ(89)」や「ロケッティア(91)」「ジュマンジ(95)」の監督として知られるジョー・ジョンストンは、SFX美術監督としてスターウォーズ3部作の他、「レイダース(81)」「魔宮の伝説 (84)」「ハワード・ザ・ダック(86)」「オールウェイズ(89)」を担当し、多くのSFXキャラクターをデザインした。
Animators......PETER KURAN
 ピーター・クーランは、イフェクト・アニメーターとして「スターウォーズ」「帝国の逆襲(80)」を担当したロト・スコープのエキスパートだ。81年には独立、VCE(Visual Concept Engineerring)を設立し、「ドラゴンスレイヤー(81)」を手始めに、「コナン・ザ・グレート (81)」「ロボコップ」シリーズなど、古巣ILMからの仕事も含めアニメーション中心のSFXスタジオを運営している。最近ではデジタルに移行しているようだ。その他の作品は「遊星からの物体X (82)」「ドリームスケープ(84) 」「ビートルジュース(88) 」「スタートレックV(89)」「ドリームチャイルド(89) 」「ミクロキッズ(89) 」「ゴーストバスターズ2 (89)」「ミディアン(90) 」「グレムリン2 (90)」「 シザーハンズ (90)」「スタートレックVI(91)」「アダムス・ファミリー (91) 」「ドラキュラ (92)」「 氷の微笑(92)」「ラスト・アクション・ヒーロー(93)」「クリフハンガー(93) 」「シャドー(94) 」「ニクソン(95)」「Mystery Science Theater 3000(96) 」など。
Stop Motion Animation......PHIL TIPPETT
 デビッド・アレン、ランディ・クックらと並ぶハリウッドのモデル・アニメーターの第一人者、フィル・ティペットはジョン・バーグと共に「スターウォーズ」のモンスターチェスやトーン・トーンなどのアニメーションを担当した。また、ノン・クレジットでエイリアンにも紛した。そして「ドラゴンスレイヤー (81) 」では従来までのストップ・モーション方式の弱点を克服したゴー・モーションを確立し、スピード感あるアニメーションを実現した。「魔宮の伝説 (84) 」「ハワード・ザ・ダック(86) 」以降は、ティペット・スタジオを主宰してロボコップ・シリーズにも参加した。1作目で彼のアニメートしたED-209は絶品である!W.オブライエンのような恐竜アニメを目指していたティペットは「ジュラシック・パーク(93)」のオファーに歓喜したのものの、プレゼンの結果ミューレンらのCGIチームに譲ることになってしまう。結局、恐竜のアニメート監修で参加したものの、ティペットのモデル・アニメが見られなかったのは残念だ。しかし今年の「スターシップ・トルーパーズ (97)」では彼のアニメが見られることを期待する。
Computer Animation and Graphic Displays......DAN O'BANNON
 ジョン・カーペンターと作った「ダークスター(73)」では脚本・美術・SFX・編集・出演と、ホームメイドな作品でキャリアをスタートさせたダン・オバノン。「スター・ウォーズ」ではモニタに映るディスプレイを担当した1人としてクレジットされている。初公開当時、私がオープニングのブロッケード・ランナーを追うデストロイヤーの次に注目したのは彼の仕事でした。「エイリアン(79)」では脚本で注目されただけでなく、H.R.ギーガーやロン・コッブ、メビウスらを映画界に引き込んだ。「ヘビーメタル(81)」のエピソードの1つ「B-17」のストーリーも秀逸だった。その後、途中で監督を降板したにもかかわらずクレジットされたことに腹をたてた「ゾンゲリア」、脚本の変更しすぎに腹をたてた「ブルーサンダー(83)」を経て「バタリアン(85)」を脚本・監督して本領発揮。その後はホラーから再びSFに方向転換、「スペース・バンパイア(85)」「スペース・インベーダー(86)」「トータルリコール (90) 」「スクリーマーズ (95) 」「ヘモグロビン(97)」と発表している。
R E T U R N