July 03, 2007

動画マンの仕事

動画の仕事はカット単位で支給される。カット単位ってのは、タイムシートに原画がはさみこんである状態。どさっと届いたカットの中から、自分がやりたいのを選ぶ。または、特定のカットを直接渡されることもある。新人のうちは、簡単なカットから渡されることになる。「このカットをお願いします」って指名されることもある。「名指し」ってやつだ。凄腕の動画マンなら特定のカットを依頼されたり、安定したクオリティで量をこなし納期を守る信頼できる動画マンにはどさっと任されることもある。

まず、タイムシートの原画欄に沿って動画欄に動画番号を記入していく。つまり原画で指示された「・」を数字に置き換え、動画の通し番号にする。これは以後の工程でも参照される。タイムシートは1枚あたり6秒。7秒のカットなら2枚ある。タイムシートをつけたら原画の清書をする。

原画には作監修正がついていることもある。原画マンの原画に、作監が修正用紙をのせて修正したものだ。この場合、原画の清書時に修正部分を反映させる。中割りは、清書した原画を重ねて行う。タイムシートや動画マンへの指示通りに描く。キャラ表を見ながらキャラを似せ、紙を裏から見てデッサンの崩れにも注意する。中割りは下描きしてから清書するんだけど、下描きなしでいきなり清書できることもある。いわゆる「一発描き」ってやつだ。実線は黒の鉛筆で、色トレスや効果は色鉛筆で清書する。ひたすらキレイに清書する。
動画は出来高なので、納品した枚数を請求してギャラを受け取る。稼ぎたければ、簡単で枚数の多いカットや単価の高い作品をこなせばいい。速く描けば、それだけ数をこなせるが、粗っぽかったらリテークをくらう。当然、ボツ動画は請求できない。

動画は指示通りに仕上げるもんだが、いくら細かく指示されていようと、中割りって、誰がやってもおんなじにはならないわけで、自分なりの表現も可能なわけです。独自のセンスがあれば、時にはクリエイティブなこともする。指示がなければ勝手に原画増やして中割ってみたり、余計なものを描き加えてみたり、独自の解釈でアレンジしたり。でも、それが通るとは限らず、リテークになるリスクが高くなる。もちろん、そうするよりは最低限の要求を満たしながら、数こなしたほうが稼げるんだけどね。冒険するよりは、キチンとこなせる職人に徹して、先のキャリアを考える方がいい。

動画のうちは、いろんな先輩原画マンの原画に接することになるので、原画の描き方やタイミングの付け方を学べるチャンスだ。カンタンなカットばっかしやってたら腕も上がらない。いい仕事をすれば注目され、信頼されるので、次につながる。

Posted by A.e.Suck at July 3, 2007 03:59 PM