June 12, 2021

レジェンドのインタビュー集

アニメ大国の神様/伝説のアニメ職人たち
アニメ制作のレジェンドインタビュー集を2冊。

アニメ大国の神様たち

アニメ大国の神様たち
時代を築いたアニメ人 インタビューズ

三沢典丈(著)、中川右介(監修)
イースト・プレス(ISBN 978-4-7816-1950-7)
2005〜2008年に中日新聞に連載されたインタビュー集。神様たちがそれぞれの経歴を振り返りながらクリエイティブについて語るのが興味深い。そして、多くの神様は共通して日本のアニメーションの未来を悲観的に捉えてる。これだけのレジェンドの話がまとめて読めるのはありがたい。宮崎さんと高畑さんには断られたらしいけど、石黒さん、出﨑さん、大塚さんなど亡くなられたレジェンドも登場するので貴重。買ったのはKindle版。

伝説のアニメ職人たち

伝説のアニメ職人たち
アニメーション・インタビュー

星まこと(編・著)
まんだらけ出版部(ISBN 978-4-86072-142-8)
まんだらけZENBUに連載されてる「アニメーション・インタビュー」の初期に掲載された中から、大工原章、森川信英、うしおそうじ、石黒昇、荒木伸吾、金山明博、鳥海永行、北原健雄を収録。なんと金山さん以外は全員が亡くなってるという貴重なインタビュー集。アニメ業界史の空白にピースがはまっていく感じ。レジェンドが言ってることを、聞き手の星まことが否定したりするのが気になったけど、全体的に内容濃いし2巻に期待。

投稿者 A.e.Suck : 04:43 PM

April 27, 2021

映像編集と『瞬き』

映画の瞬き[新装版] 映像編集という仕事

映画の瞬き[新装版]
映像編集という仕事

ウォルター・マーチ(著)、吉田俊太郎(訳)
フィルムアート社(ISBN 978-4-8459-0820-2)
オスカー受賞編集者ウォルター・マーチはコッポラやルーカスの盟友。『THX 1138』『ゴッドファーザー PART II』『地獄の黙示録』『ゴースト/ニューヨークの幻』などの編集や、『黒い罠』の修復を手がけた。『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)でAvid、『コールド マウンテン』(2003)でFinalCut Proとデジタル編集の先駆者でもある彼の編集についての考え方が記された名著。 人間の瞬きは無意識にカット割りしてるって考察から、映像素材の編集点は瞬きの直後になるそうだ。すごない?それが映画の瞬き。観客にどう感じて欲しいかを考え、感情/ストーリー展開/リズム/視線/スクリーンの平面性/三次元空間の継続性を満たすのがルール。。

投稿者 A.e.Suck : 10:50 AM

April 09, 2020

アニメーションの仕事を知る

アニメの仕事は面白すぎる

アニメーターの仕事がわかる本

アニメーターの仕事がわかる本

西位輝実 餅井アンナ(共著)
玄光社(ISBN978-4-7683-1279-7)
読みやすいので1〜2日で読める。わかりやすいし、共感できる部分も多い。ワークフローの実情や業界が抱えてる問題なんかも伝わってくる。業界のエグイエピソードはないにしても、もっと具体的な話を期待しちゃった。アニメーターはそれ誰よ?それどこの会社?作品名なに?ってネタが好きなんだけど、そーゆーとこには触れない。にしー先生の経験からある程度は出してもいいと思うんだけど。聞き手が突っ込んだとこまで質問しないのでなんかモヤモヤ。あと、死後くんのイラストが醜い。にしー先生に描いてほしかった。ところでにしー先生はスタジオコクピット出身なんだそうで。てことはオレの後輩の後輩にあたるんだねー。育ててくれた師匠って誰なんだろう?

アナログvsデジタル

作画はクリスタとTVPaintとアナログの三つ巴だって。Animate/Flashは脱落か。デジタルはメリットしかないみたいだけど、
デジタルに拒否反応を示す人すらいる
わからんでもない。デジタル線は生きた感じがしないから鉛筆線が好きってのと、鉛筆のようなスピードが出ないことがある。どっちが楽か、どっちが楽しいかは人それぞれ。設備投資の個人負担が重いからってのは、なんかねー、デジタル作画=液タブって印象がある。液タブは高いよ、でも安い板タブって選択肢だってある。前向いて描けるから姿勢が楽で疲れにくいんですよ。オレ的は液タブより板タブの方が描きやすい。
高解像度化が進めばデジタル化は避けられない
解像度縛りの話で、Flashでない限りデジタルでも4K8K作画は大変ですよ。でもせっかく高解像度作画してもその解像度に固定されちゃうってデメリットがある。素材がアナログなら高解像度でスキャンできる。映画業界でもデジタル撮影からフィルムに戻りつつある。35ミリや16ミリのフィルムなら高解像度でスキャンできるからデジタル化しやすいもんね。

腕の話がよくでてくるのはアニメーターなら当然。うまい人とか描けない人など、絵描きは「画力」で評価できるけどこれが一般人には伝わりにくいと思う。描けない人がアニメーターになってるの?まあ確かにそうだけど、デッサン力がない、パースの理解がない、タイミングがヘタ、キャラが似てない、プロポーションが違う、芝居がヘタ、絵コンテを理解できないなど、描けないにもいろいろある。そもそもうまい絵ってどんなん?超うまいけど近寄りがたいアニメーターと、画力は並だけど手が早くて人当たりもいいアニメーターとどっちがいい?みたいな話もあるよね。

SNS

営業ツールとしてtwitterやpixivを活用せよとあるけど、どんな絵を描いたらいいかって話がなくて。好きなキャラの模写、作品の二次創作、色付きイラスト、ラクガキ、ラフデッサン、クロッキー?ディズニースタジオはミッキーをめちゃくちゃ上手く描ける人より人間のデッサンがうまい人を採るって話を読んだことがある。二次創作やファンアートよりは基礎デッサンができてるとか独自の世界観がある方が有利なのは日本も同じなんじゃない?知らんけど。twitterでのスタッフ探しにアニメ未経験者まで声をかけるの、ほんとやめてね。アニメーターはイラストが多少描ければなれるもんではない。スキルが違うので描けない人が増えるだけ。描ける人は、
描けない人が積み重ねたマイナスを総裁してゼロにする作業
ですら追いつかなくなる。

アニメの仕事は面白すぎる

アニメ業界56年で993本のコンテを切った奥田誠治さん。そして「アニメの基本バイブル」の共著者。もうTVアニメ黎明期からの大大ベテランですよ。流れで言うと虫プロ系に属する。多くのスタジオを渡り歩いた奥田さんの半世紀。自伝とゆーか仕事自慢。技術的な話はヌキで彼の現場から見た日本のアニメーション史。そして現状のアニメ業界の凋落ぶり。絵コンテのみの仕事が減った理由として、
スケジュール管理のできない制作進行、デスクは絵コンテと(後処理)演出をセットにして出すことで、本来であれば制作が行う雑務まで押しつけることができる。受ける若手も、その「演出」という「ネーミングの魔力」に負けて、安い値段で引き受けることとなり、それが業界のスタンダードになってしまった。
アニメ業界に増殖しているアニメ監督について、
監督になると声優と仲良くできる、周囲に偉そうにできる、女の子にもてる。そんな意識で監督にしがみつく連中が増えた。我々の時代は少なくとも面白いことができる、映像が作れるそのために監督になりたかった。
こーゆーのが書けちゃうのは奥田さんしかいないだろう。大御所のエピソードも実名でたくさん紹介されてるし、制作上でケンカした話も多い。『アトム』で富野さんのコンテを直して原画描いた話とか、大塚さんのフィアットに乗せられた話とか。虫プロ系の仕事仲間だった杉井兄弟、宮本貞雄、月岡貞夫、宇田川一彦、出﨑兄弟、丸山正雄、林兄弟、岡迫亘弘、村野守美、富野喜幸、荒木伸吾、進藤満尾、坂口尚、石黒昇、芦田豊雄のほか、小田部夫妻、高畑勲、長浜忠夫、吉田健二、笹川ひろし、布川ゆうじなど錚々たる人脈。大学の教え子で優秀な韓国人留学生には
君の行きたい会社を言ってくれればどこへでも入れてあげる
の一言。2009年はアンカマに在籍、アンカマと言えばFlash。その後仙台の大学院でもFlashを教えていたそうだ。

投稿者 A.e.Suck : 11:33 PM

January 11, 2020

いまどきのアニメーション表現

アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門
アマゾンで『アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門』って本買って読んでたら、意外にもFlashの話も出ててびっくり。

アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門

アニメ制作者たちの方法

21世紀のアニメ表現論入門
高瀬康司(編)
フィルムアート社(ISBN 978-4-8459-1808-9)
アニメーションの新しい表現法(主に作画と撮影)についてのインタビューや対談いろいろ。制作現場のプロの話は説得力あるしタメになる。そして研究家のコラムや小論は小難しいけど、思ったよりいい本でした。例えば、24FPSで1コマ打ちって実写だとリアルなのに、アニメーションだとヌルヌルして見えるのを心理学的に解明できた片渕さんが3コマに至った理由を説明してくれてる。なるほどーって思った。 あと、After Effect主流のアニメーション撮影に『ほしのこえ』が与えた影響の大きさを感じた。AEは撮影台の代わりじゃないことを知らしめたというか。 Flashの話が出てくるのはWeb出身のアニメーターである「Web系アニメーター」の章。Web系には、ビデオコンテをFlashで作る監督とか、Flashでラフ作ってから紙に描く原画マンとかいて、彼らがFlashに拘るのは、絵よりは動きを作るのに適しているから。動きに拘るなら当然Flashに行き着くとありました。同意です!一方、原画までは紙で動画以降がFlashのサイエンスSARUに於ける、清書&中割り(彩色も)行うのがFlashアニメーターとなってました。 それから、3コマ打ちでコンタクトを描かないリアルなタイミングの作画を「タイムライン系作画」って言うそうなんですが、Flashのタイムラインからできた言葉だそう。知らんかった! この本には人名や作品名が当たり前のようにたーくさん出て来るので、思い当たらないものも多い。また、言葉だけで説明するよりも実際の絵を掲載してくれれば視覚的に理解しやすいのにって思った。逆に、せっかく具体的な図版があってもカラーじゃないのでわかりにくいのも残念。

Web系アニメーター

2〜3年の動画経験を経た従来の原画マンに対して、Flashでアニメーション作ってネットで公開して原画マンにスカウトされた人たちは「Web系アニメーター」と呼ばれてて、本来動画時代に学ぶスキルをFlashで身につけたってことですね。描いてすぐプレビューできるので身につくのも早いわけです。ベテランアニメーターのハイレベルな作画さえも追求できちゃう。 優秀なら貧乏な動画時代を送ることなく原画になれちゃうわけです。そこって重要で、原画マンとゆーか動きを描くの才能があってもその前段階の動画マン時代に潰れてちゃう可能性があるわけで、それじゃ人材も育たんよ。

Flashが普及しないわけ

この本では、従来のワークフローをデジタル化したRetasやアニメーション制作に特化したTVPaintと違って、Flashは異端だとしている。それは絵を描くよりは線を制御する感覚だし、本来Web制作のためのソフトなので作画専用ツールではないからだそうです。だから普及しないんかなー。元々お絵描きソフトにタイムラインがついたものだったんだけどいらん機能増えたからなー。Illustratorと違って、ベクターだけどラスターのような書き味だと思うんだがなあ・・・。開発したジョナサン・ゲイも紙と鉛筆をデジタル化したって言ってたし。 でもイイコト書いてあった!異端なのが逆に強みになってて、従来の制約を越えて前に進むのに役立つとのこと。そうそう!そこですよ!クリスタかTVPaintかなんて言わずにAnimate使ってみようよ〜!

夢の黄金フロー

FlashやAnimateで原画を描いたとしても、動画と彩色でも導入しない限り、黄金フローは成り立たない。原画マンがFlashやAnimateで描くついでに動画や彩色もやっちゃったら、もっとも効率いいし稼げる。ただ、それだと従来のシステムに合わず、動画や彩色の部門に仕事が回らなくなっちゃう。なので動画や彩色がFlash/Animateを使えたらいいんだけど。あとは相性のいいAEに渡してルックを調整してコンポ。AEの機能もどんどん進歩してるからね。元々FlashのSWFをベクターのまま読み込めるAEは、CC2019からFLAファイルをアーカイブとしてやレイヤーを保持して読み込めるようになったし。

補足資料

フィルムアート社のサイトに本書の補足資料が公開されてました。参考になると思います。

美術手帖 2020年2月号

特集が「アニメーションの想像力」ってことで、2010年代のアニメ史における革新について取材をまとめたもの。アニメ評論家の人たちの座談会以外はよかった。劇場やTVシリーズのスタッフだけでなく、ロトスコープの人や海外の個人作家まで、アニメーションに携わる人々に幅広く取材してて、技術的な話も多いし、その作品を知ってないとわかんない話もでてくる。フル3コマの磯光雄とFlash使い山下清悟の対談は生々しい。あと、川上雄介による『Fate/Grand Order』のレイアウトはBlender+Animateだってよ。64ページに写真が。
美術手帖 2020年2月号

投稿者 A.e.Suck : 10:47 AM

October 22, 2019

東映動画とアニメーション

漫画映画 漂流記
帯はウザイけど『なつぞら』便乗でこーゆー本が出るのはありがたい。カバーは小田部さんの描き下ろし。

漫画映画 漂流記

漫画映画 漂流記

おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一
小田部羊一/藤田健次(聞き手)
講談社(ISBN978-4-06-517190-5)
奥山さんや東映動画についてのインタビュー集。メインの小田部さんのインタビューは元々はFRIDAYデジタルで連載されたもの。WEBでも連載されたけど、たっぷり。WEBでも読他にインタビューしたメンバーもイイ。勝間田さん、ひこねさん、葛西さん、池田さん、宮崎さん(の奥さん)。勝間田さんは『にんぎょ姫』、ひこねさんは『わんぱく王子』、葛西さんは『龍の子太郎』、池田さんは『空飛ぶゆうれい船』と『ど宝』で奥山さんと仕事してる。宮崎さんは同僚目線。アニメじゃなくって、長編アニメーション作ってた頃の東映動画の話はええなあ。小田部さんの話に教養室が出てくるんだけど、教養室って、あったあった!畳の部屋、懐かしいなあ。何で教養室って言うのかわからんかったけど、茶道やってたとは。

日本のアニメーションを築いた人々 新版
旧版よりかなりボリュームアップしとった。

日本のアニメーションを築いた人々 新版

日本のアニメーションを築いた人々 新版

叶精二(著)
復刊ドットコム(ISBN978-4-8354-5685-0)
旧版持ってるし、買わなくていいかなって思ったけど単なる復刊でなく新版になってるってことで買ってみた。新版の目的のひとつに不本意だった旧版を本来の意図に修復するってのがあって、いわゆる15年後に世に出たディレクターズカットみたいなことになってる。この15年で大工原さんと奥山玲子さんが亡くなってる。さらに池田宏さんの東映長編、安藤雅司さんの近藤さん追悼、小田部さんの高畑さん追悼と3つのインタビューがプラスされてた。実現しなかった演出編とゆーか、続編出してほしい。

関連記事

投稿者 A.e.Suck : 05:19 PM

September 10, 2018

撮影と作画

MdN
作画特集だったので久々にMdN買った。前回の撮影特集以来。

アニメの作画

知らん子の知らん作品ばっかし。まだ最初の人のしか読んでないけど気付いたこといくつか。
・芝居の参考はTV の『スター・トレック』:プロポーションがわかりやすいコスチュームだからって、たしかにね。
・編集用の予備尺部分:編集のためにカット頭に6コマ確保するのは一般的だけど、カットする前提で尻を長めに作画するって贅沢だな〜!そーいえば予備尺に枚数使って干されたベテラン演出家がいた。
・OP/EDでコンテを担当する場合、Animateでラフムービーを作ってから絵コンテに起こす:うん、短尺ならでは。オレも同じだけどコンテ用紙は紙じゃない。
・デジタル作画はAnimateで描いたラフをプリントアウトして紙に原画を描く:紙の方が作業スピードが早いから、ですって。とゆーよりAnimateで仕上げたら後工程が困るかもね。

撮影を知るとその200倍は楽しい!

アニメーションの見所は作画だけじゃないんだよ、撮影もちゃんと見てみようって。アニメーションの撮影つっても昔のように撮影台とキャメラとフィルムじゃないからね、After Effectsになってできること、表現法がぐーんと広がったわけで、AEによる撮影処理を実例とともに紹介してる。撮影監督の仕事とか撮影のクリエイティブ面の掘り下げとか。
  • MdN 2017年 11月号「アニメを観たり、語るのは楽しい。でも……撮影を知るとその200倍は楽しい!」

投稿者 A.e.Suck : 02:01 PM

July 16, 2017

アニメーターの回顧録

エンピツ戦記 - 誰も知らなかったスタジオジブリ

エンピツ戦記 - 誰も知らなかったスタジオジブリ

舘野仁美 (著), 平林享子(構成)
中央公論新社(ISBN: 978-4-12-004793-0)
アニメーターの回顧録ってだけでも珍しいのに、ジブリの動画チェッカーだよ。ジブリの看板抜きにしていい本だったよ。まず聞けないからね、こういう話は。32年間ずっと動画マンだった舘野さん、オレと同じ1960年生まれだった!東デ(東京デザイナー学院アニメーション科)出身てことは、オレの2年後輩たちと同期なのかー。東デ卒業後に入った作画スタジオってどこかわからんけど、すぐ辞めてフリー動画やってたとき「もっとうまくなりたくて」テレコム入社。周囲のうまい原画の先輩たちを見て、原画は目指さずに「うまい動画マン」になろうと決めたんだってね。矜持は「動画の線こそアニメーションの生命線」だそう。オレは動画には向いてなかったけど、舘野さんは原画より動画向きの人だったんだろうね。そういえば、当時の女子動画マンは原画にならなくても珍しくなかったわ。
いつまでも動画を描いている人は、原画になれないダメなアニメーターだと見なされるような風潮は、当時からありました。
あった。原画昇格は動画マンの目標で、なれないとダメなヤツみたいな。特に男は。同期や後輩が先に原画に昇格すると精神的に辛いし、早く原画にならないと収入面でも辛い。
テレコムでは宮崎さんたちの考えで、最低でも2年間は動画をやって修行を積まないと原画になれないという不文律があったのです。
動画経験2年で原画って当時は標準的な目安だったんじゃないかな、テレコムじゃなくても。オレは2年やりましたよ、動画マン。動画3ヶ月で原画マンに昇格する人は他社にはたくさんいたそうだけど、オレは聞いたことないね。舘野さんはテレコムでの4年を経て、動画チェッカーとしてジブリ移籍。ここからがこの本のメイン。

動画チェッカーの仕事

動画チェッカーの仕事は上がって来た動画をチェックして、リテーク戻したり、自分で直したりする。作監や仕上げから「ここ描き直して」ってオーダーされたり(舘野さんの場合、動画まきや新人指導もしたそうだ)。メインスタッフとして大御所と机を並べて仕事する環境に身を置くことは、その他大勢の動画マンではなくなった感覚だ。仕事は修正が中心だから面白くはないけど、メインスタッフの1人になる機会は貴重なキャリアになる。

原画マンになる前段階がチャンスだけど、動画キャリアがあればやれる仕事でもない。腕を認められた動画マンが指名される。通常のTVシリーズには動画チェックを置く余裕はないので、劇場、TVスペシャル、合作(海外作品)など製作費の大きい作品に限られた。つまり動画チェッカーのイスはわずかなの。動画チェッカーの経験なく原画マンになっちゃう方が普通なくらいね。

動画チェッカーのギャラは枚数でなく月ごとか作品ごと。オレは原画になる前にフルアニメの合作と東映の劇場用長編で動画チェックを経験した。35年前ね。劇場の動画チェックのギャラは手取りで27万/月だったので、20歳の動画マンにしては破格の収入だった。なので動画チェッカー専業なら収入は定期的なので安定する。普通は原画マンになっちゃうけど、専業で稼いでた人もいたよ。でも作品契約だからパタッとなくなるリスクもある。

この本では動画チェッカー目線で「ジブリの動画の原則」や「他社との線の違い」、歩きでありがちな間違いなどがわかりやすく解説されてた。

師匠から学ぶ

昔はアニメーターなら必ず師匠がいた。学校の先生と違って指導は仕事じゃないのに、現場で後進を育成するってゆー使命感で自分の仕事があるのにわざわざ時間を割いてくれるので厳しい。宮崎さんのようにホチキスで止めてゴミ箱にポイなんて珍しいことじゃない。手取り足取り教えてくれる訳じゃないので、自分で学んで行くしかない。舘野さんも宮崎さんの近くの席だったことで、引き出しを満たしていった。

舘野さんが宮崎さんから学んだことって、オレが師匠から学んだことと同じことが多くてびっくりした。たとえば瞼の描き方もそのひとつ。オレも同じこと言われた!なんでだろ、東映の伝統なのかな。

師匠から学んだり、先輩から盗んだりをしてない人はぜひ読むべきだね。師匠も師匠から学んで来たわけで受け継いで行くんだな。舘野さんが保田道世さんから聞いた話は、保田さんが森康二さんから聞いたこと。そして、舘野さんは宮崎さんから学んだり怒られたり、耳にした言葉を文章で示してくれた。師匠が間近にいなければ知り得ないことの数々はアニメの教則本では得られるものではないのがこの本のすごい意義だと思う。宮崎さんだけでなく高畑さんや金田伊功さん、大塚伸治さんのエピソードもあったよ。

不可解なこと

父の余命宣告を受けていたので、高畑さんから『山田くん』の動画チェックを依頼されたときに、辞退させていただきました。
復帰後、鈴木Pから『山田くん』の動画チェックをわざわざ依頼され、結局「お引き受けします」と。舘野さんはジブリの社員なので、手空きならこっち入ってって上で決めるのアリだと思うんだが、そこは辞退できるの?って思った。いつか西荻のササユリカフェ行って聞いてみたいな。

関連情報

投稿者 A.e.Suck : 04:12 PM

June 21, 2017

インテリジェンスなアニメ本

創作アニメーション入門―基礎知識と作画のヒント

創作アニメーション入門―基礎知識と作画のヒント

山村浩二(著)
六耀社(ISBN: 978-4-897-37985-2)
トゥイーンはアニメーションとは認めていない山村浩二さん。Flashアニメはカットアウトの紙芝居ってイメージなんだろうね。初のTVアニメ『鉄腕アトム』を見た大塚康生さんも同じようなことを言ってたっけ。FLASHでフレーム・バイ・フレームでアニメ作れるんだけど、トゥイーンはアニメーションでないってところは同感。
創作アニメーション入門そんな山村さんがアニメーションのしくみや歴史を解くことでアニメーションとは何かと説いているのがこの本。創作アニメーションってアートアニメ寄り。個人制作アニメーションに興味がある人向きの入門書だ。同郷でほぼ同年代なのに通って来たアニメ道がまったく違うから、この道38年のオレでも知らんことだらけだった。講義のようなインテリジェンスな内容で勉強になる。原理、歴史、手法を学習できる学術書っぽいのがアニメーション教本と違って新鮮。小難しいわけじゃなくて読みやすいよ。図版も多いし。
勘違いされてることもいくつかあるんでツッコんでおくと、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』はティム・バートンではなくヘンリー・セリック作品。トレス台は「透過光台」ではなく「透写台」が正しい。透過光は撮影用語。フィルム撮影機材の「線画台」って聞き慣れないけど「撮影台」のことです。そうそう、『戦場でワルツを』はFLASH製カットアウトアニメです。

北斎漫画、動きの驚異

北斎漫画、動きの驚異

藤ひさし、田中聡(著)  小林忠(監修)
河出書房新社 (ISBN: 978-4-309-27819-3)
本屋で手に取ったら面白そうだったのでそのままレジへ。葛飾北斎の『北斎漫画』って、版画の下描きの絵で版下絵というものをまとめた本。現代の漫画と違って絵を習いたい人向けの絵手本。要するに北斎のスケッチ集だと思っていい。
北斎漫画、動きの驚異この『北斎漫画』を「動き」の観点から検証したのがこの本。北斎の画力はめちゃくちゃ高いんだけど、動いて見えるように描くことにも拘ってたらしい。日本最初のアニメーターって解説してる。フィルムもパラパラマンガもない時代、アニメーターのスキルを持ってたって意味。たしかにポーズとか連続性がアニメの原画っぽい。シルエットにしても動きがわかる絵って、トラディショナルなアニメの教本と同じだね。などと、この本の大半を占める図版を眺めて思ったりする。引用される絵は大きくて見やすいけど、4000点もある中のほんの一部なんだよね。

投稿者 A.e.Suck : 01:15 AM

October 19, 2015

表現の物理学

MdN
久々にMdN買った。そういえば、前回買ったときも同じようなイフェクト作画の特集だった。「イラスト表現の物理学」が「エフェクト表現の物理学」になったのね。今回は1年ぶりってゆーことで続編的な特集と思ったら、それほどでもなく、二番煎じ的な内容だった。雑誌版のみの「日本美術の中に観るエフェクト」って記事が、浮いてるけれども面白い考察だけどね。金田さんや板野さんに関する記事は、インタビューで構成されてるので読んでもピンとこないんじゃないかなあ。佐藤千春の話は編集者が理解できてないのか、金田さんの動きの凄さが伝わりにくい。また、板野さんの話で「ラフ原稿のような」ってあるけど、本人は「ラフ原」って言ってるはずで、だったら「ラフ原画のような」なんだよな。イフェクトの解説も、理屈だけだと辛いでしょ。アニメーター相手ならまだしも。昨年の特集がよかっただけに、今回は惜しかった。

  • MdN 2015年 11月号「エフェクト表現の物理学 爆発と液体と炎と煙と魔法と。」雑誌版 | Kindle版
  • MdN 2014年 10月号「イラスト表現の物理学 爆発+液体+炎+煙+魔法を描く」Kindle版

金田伊功SPECIAL
金田さんの作画についてはこの本に尽きる。1982年に徳間書店から出た「金田伊功SPECIAL」、これ復刻すればいいのに。当時980円がアマゾンで7470円だって!ヤフオクでも7200円。
金田さんは「ゲッターロボG」の最終話や「ガイキング」、「ザンボット」「ダイターン」「さらば」で名前は知ってて(金田功ってクレジットのときもあった)すげーなーって、金田さん回は意識して見てた70年代。プロになって金田さんの原画が初めて回って来たのは「地球へ...」の動画のとき。シートに「か」のサイン。動画にとっては枚数が稼げた。原画はかなりラフでレイアウトとフォルム重視。タイミングの付け方は魔法のようだったなあ。

投稿者 A.e.Suck : 05:42 PM

July 19, 2012

大御所の話は聞いとけ

いまだから語れる70年代アニメ秘話

いまだから語れる70年代アニメ秘話
〜テレビまんがの時代〜


オトナアニメ編集部(著)
洋泉社(ISBN: 978-4-86248-964-7)
Flashでアニメ作る人、師匠のいない人は読んでおくべき対談集。70年代のTVアニメってのは、アニメーターの個性が認められてたからだ。その70年代を代表する大ベテランアニメーターと後輩のベテランアニメーターの対談が5本。そして東映出身の大御所2人(やはり先輩後輩)の対談が最後を飾る。作画オタのインタビュー本と違って先輩後輩の対談が中心てのが嬉しい。
大ベテランはいずれも業界では知らぬ者のない伝説の大御所だが、アニメが好きでプロになったわけではない。よくわからないまま職業として選んだのがアニメーターだったまでのこと。ベテランアニメーターは大ベテラン達が手がけた70年代TVアニメに影響を受けてプロになった元アニメファン。オレもそうだけどね。大ベテランを持ち上げすぎと思うかもしれないが、これが自然なの。大御所はそんだけ凄い人達ってこと。
大御所の話は新しい世代に伝えられるけど、弟子や後輩、仕事仲間など何らかの接点がなければ聞くことはできない。70年代のアニメはわからんとか、昔の思い出話聞いてもしゃあいとか言ってる場合じゃないよ。Flashに関しては、まだ70年代アニメの現状や空気があてはあまるので、聞いておいて損はない。
Flashやっててさ、師匠っている?あ、師匠ってのはアニメーションテクニックを手取り足取り教えてくれるわけではないよ。技術は自分で盗むものだからね。もっと基本的な、仕事の糧になるような話をしてくれるわけ。この本も大御所からテクニカルな話はでてこない。 Flashやっててさ、巧いなあって先輩が近くにいる?ホスト役のベテランアニメーターは先輩のようにテクニカルな話もしてくれる。そして個性が出せた時代と個性が禁じられた今の両方を経験した先輩の話も重要だぞ。
あと、思ったんだけどさ、今はアニメーターが稼ぎにくくなってるでしょ、制作体制を70年代のシステムに戻せばね、作品も面白くなるし、アニメーターも儲かるし、人材も育つんじゃないかなあ。
そうそう、この本で残念なのは木村さんの絵を別の人がPhotoshopで塗ってしまった表紙。よりによって70年代にはなかったデジタル彩色。鉛筆線を活かした装丁にしてほしかったな。さて、70年代を盛り上げた大御所達の話をもっと聞きたい。小田部羊一、杉野昭夫、大橋学、宮本貞雄、窪詔之、森利夫、湖川友謙、安彦良和、、、話を聞いておきたい大御所はまだまだいるよ。


投稿者 A.e.Suck : 06:49 PM

May 23, 2012

大友克洋GENGA展

GENGA展3331 Arts Chiyodaってところで開催中の大友克洋GENGA展に行って来た。前々日にローソンでチケットを購入した時は時間帯によっては完売だった。予想以上に混んでたが、全体的に懐かしさと物量に満足。壁面と柱の展示は見やすくて、間近でメガネをずらして片目を瞑ればよく見れた。「大砲の街」だけセルだった。GENGA展なんだから原画が見たかった。そういや「幻魔」は大友さんがモブの原画描いてるけどなかったし。いや、アニメの原画展じゃないんだけどね。「BATMAN」だけラフと清書両方あってよかったー。「アキラ」は点数多いのでレイヤー展示は仕方ないけど、せめて原稿の向きは通路に合わせるべきだね。退場した先に売店が。図録はアマゾンで購入済みだったので、Tシャツかマグでも買って行こうかと思ったら、サイフに1000円しかなかった!

GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES

GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES

大友克洋原画展 実行委員会
パイインターナショナル(978-4-7562-4273-0)
で、この図録なんですが、会場外の売店でも販売してましたが、アマゾンで買といて正解でした。デカイです、すげえボリュームです。画集と違って、作業臭が漂うほどのクオリティで原画がギッシリ。白黒原稿の黄ばみから緻密な線の1つ1つがバッチリ再現。39年におよぶ膨大な画業が、インタビューや対談の再録とともに収録されてます。会場で現物を間近で見た刺激の延長があります。さすがに展示の目玉でもあった「アキラ」全原稿の収録は叶いませんが、GENGA展に行けなかった人でも買えちゃうのが嬉しいですね。


投稿者 A.e.Suck : 08:14 PM

June 13, 2011

カートゥーンギャグ辞典

定本アニメーションのギャグ世界

定本アニメーションのギャグ世界


森卓也(著)
アスペクト(ISBN: 978-4-7572-1537-5)
1978年に奇想天外社から出た名著「アニメーションのギャグ世界」の増補復刻決定版。手塚治虫に「アニメの生き字引」と称された森卓也氏ならではの情報の多さは絶大。クラシック・カートゥーン黄金時代の集大成ですよ。タイトルに「アニメーション」てついてるけど本文では「短編漫画」または「漫画映画」です。その昔、映画とセットで上映されてた劇場用短編の全盛期。ディズニーやフライシャーはもちろん、MGMのテックス・エイヴリー作品や「トムとジェリー」、ワーナーの「ロードランナー」「バッグス・バニー」などから多くのギャグや元ネタの紹介と解説は必見です。すんごい記憶力と情報量!

「トムとジェリー」全話解説は、LD-BOX用に書かれたお宝的資料。あらすじではなく解説なのよ!ここ大事。子供の頃、近所の映画館で「トムとジェリー」数本をセットにした番組を観たけど「トムとジェリーの大行進」だったのか。それにTVで繰り返し見た印象から吹き替えにこだわりたいんだけど、森卓也氏は「オリジナル原語で見ろ」と強調する。輸入LD-BOXで原語版見たけど、やっぱ八代駿・藤田淑子・谷幹一の声がないと寂しかった。でも、この解説読むと原語で見たくなる。MGMのプロデューサー、フレッド・クインビーが目立ちたがりなだけの堅物ビジネスマンだったなんて他に誰も教えてくれないよ。

日本の人形アニメーションの草分けMOMプロの誰も知らない盛衰史など興味深かった。新収録された「ロジャー・ラビット」「ウォレス&グルミット」「ベルヴィル・ランデヴー」「ポニョ」ピクサーアニメなど通の視点での映画評も鋭くて信頼できる。巻末の「アニメーション50選」なんか、YouTubeでチェックだな。やはり、リアルタイムで長年見て、記録してきた著者に叶う人は他にいないでしょう。アメリカの最もいい時代のアニメーションを知るには唯一最適の本です。勉強にも刺激にもなりますよ。オレの地元の大先生だけに、ローカルネタにも共感できたりした。

投稿者 A.e.Suck : 12:01 AM

November 27, 2010

東映動画史

東映アニメーション演出家40年奮闘史

東映アニメーション演出家40年奮闘史

森下孝三(著)
一迅社(ISBN: 978-4-7580-1186-0)
1978年の夏休みに31周年に書いたマイティさんの口利きで東映動画の見学に行ったことがある。言われた通り総務部を訪ねると「今日は見学日じゃないので水曜に来てね」とあっさり。名古屋から来たことや、マイティさんの紹介であることを伝えると、特別に総務の方がスタジオ内を案内してくれることになった。「栄ちゃんの紹介で名古屋から来た子よ」と紹介されながら、仕上げ部や作画部などを見せてもらい、芹川さんなど大御所の方々に話を聞いたりサインをもらったりしてた。その時「森下孝三のサインはいらんか?」と声を掛けられた。演出の森下さんだ!「サイン書いてあげるよ、森下孝三だよ、オレのサイン欲しいでしょ」オレ様ムードたっぷりの若手演出家。チェック用のサインかと思ったら、キッチリ縦書きのサインを書いてくれた。
その後「フューチャー」「ピンクパンサー」「タイガーII世」「ダイラガー」「SSX」「トランスフォーマー」とキャリアはオレと結構被ってるけど、なぜか一緒に仕事したことはない。その森下さんはCD、制作担当、研修所長を経て、今や副社長と東映一筋。
立場上?東映バンザイな著書なんだが、演出家の奮闘史としては生々しさに欠けて食い足りない。森下さんらしい自慢話はちょっとだけあるけど、全般的に副社長目線の無難で表面的な内容に肩すかし。もっと裏話や演出話、仲間話とか欲しかった。本人が覚えてないんじゃしょーがないけど。


東映動画アーカイブス

東映動画アーカイブス

フィギュア王プレミアムシリーズ 5
松野本和弘(編・筆) ワールドフォトプレス(ISBN: 978-4-846527952)
本屋で表紙買い。メインは初期の東映作品のマケット写真だった…。マケットってのはアニメのプリプロ段階で制作されるクレイ人形。長編は「白蛇伝」から「ど宝」まで。TVは「ケン」から「タイガーマスク」まで。アーカイブスならキャラ表をもっとのっけてほしかったけど、フィギュア王のムックだからしょーがないや。 大工原さん、喜多さんのインタビューは貴重。

投稿者 A.e.Suck : 04:41 PM

January 17, 2010

ピクサー流の表と裏を知る

ピクサー流マネジメント術

ピクサー流マネジメント術

天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたか
エド・キャットマル(著)、小西未来(訳/解説)
ランダムハウス講談社(ISBN 978-4-270-00510-1)
「テクスチャマッピング」「Bスプライン」「アンチエイリアス」そして「トゥイーン」などいくつものCG技術を開発したエド・キャットマルは実はピクサーの社長です。そのキャットマルが、クリエイティブ集団の組織作りと製作におけるマネジメントについて新聞に寄稿したものの翻訳。スピン付きでうっすい本だけど、技術×芸術論などありがたーいお話が凝縮。
なお、半分以上は訳者の解説。アイデアが映画になるまでは興味不快が、あとはどうでもいいや。


Aメイキング・オブ・ピクサー

メイキング・オブ・ピクサー

創造力をつくった人々
デイヴィッド.A.プライス(著)、櫻井祐子(訳)
早川書房(ISBN 978-4-15-209016-4)
ディズニー・チャンネルやDVDの特典でお馴染みの「ピクサー・ストーリー」書籍版。NYIT〜ILM〜ピクサー〜ディズニー傘下になるまでの社史と各作品のメイキングの集大成。それだけでなく、公式社史から抹消された部分やダークな部分、ビジネスの裏側や確執までもが中立的な立場でまとめられていて読み応えがある。PIXARってのは[Picture]と[Laser]をかけた造語で、元々グラフィック用コンピュータの名称として考案されたんだぜ。
訳者は業界に疎いらしく、「ナイン・オールド・メン」を「9人の老人」、「リトル・ブレイブ・トースター」を「いさましいちびのトースター」、「レイアウト」を「配置」などなど珍訳が目立つものの、大きな食い違いはない。


投稿者 A.e.Suck : 10:15 PM

June 23, 2007

ラフスケッチを見る

Blacksad: The Sketch Files

Blacksad: The Sketch Files

Guarnido(著)
Ibooks(ISBN 1596878371)
日本版も発売されている、スペインのフアーノ・ガルニド作「ブラックサッド 黒猫の男」のスケッチ集。彼は元ディズニーのアニメーター。ラフの取り方がアニメーターっぽく、緻密な画力に圧倒される。洋書だけどめちゃくちゃうまいから気にするな。


The Art of Hellboy

The Art of Hellboy

Mike Mignola(著)
Dark Horse Comics(ISBN 1596878371)
マイク・ミニョーラのラフスケッチ&イラスト集。「ヘルボーイ」を中心に集大成。省略とカラーリング、構図やフォルム、確かな画力と独特のセンスが堪能できる。俺が買ったのは米ハードカバー版だが、今は手に入らないでしょう。でも米ペーパーバック版米Kindle版日本版が入手可能。


投稿者 A.e.Suck : 11:50 PM

May 07, 2007

巨匠のラフ画集

Mythology

Mythology

Alex Ross(著)
Titan Books(ISBN 1840239417)
ヒーロー描いたら世界一、コミックをアートにまで高めた御大アレックス・ロスの画集。映画的な構図、スーパーリアルな画風、ずば抜けたデッサン力がこれでもかってくらいぎっしり詰まった1冊。もちろん、スケッチも収録。洋書だけど気にするな。


Rough Work

Rough Work

Concept Art, Doodles, and Sketchbook Drawings by Frank Frazetta
Spectrum Fantastic Art(ISBN 978-1599290133)
これも洋書。ファンタジー・アートに興味はなかったけど、プロになった頃はフラゼッタの画集は必須だった。確かなデッサンとポージングから成る構図。そこに添えられた「Frazetta」のサインは、世界的な大巨匠の印。そんなフラゼッタのラフがフケッチがギッシリの本。


投稿者 A.e.Suck : 08:25 PM

December 17, 2006

FLA魂

Create魂

Create魂 Flashクリエイターによるオリジナルアニメ創作論

青池良輔(著)
アスキー(ISBN 4-7561-4842-5)
最近オヤジになったFlashアニメ作家の青池君が、ブログ「Fla魂」に1年半に渡って書きつづった創作論に、大幅に手を加えて書籍化。彼の人柄がよく出てて、いかにも青池らし〜い本になってます。着想から脚本・演出、自主制作と受注制作と、バッチリまとまってます。加筆された巻末の事例もリアルです。Aの人はもちろん、技法書ではないので、PやDの人にもオススメです。


高木工務店

高木工務店 デジタルコンテンツ制作のココロとテクニックを盗め!

高木 敏光(著)
エクシードプレス(ISBN 4-89369-875-3)
会社員だった頃の高木さんが「design plex」に連載してたのを単行本にまとめたもの。当時は自分の担当記事よりも先にこの連載に目を通したものだ。テクニックよりも、制作の姿勢や心に重きが置かれ、発想から試行錯誤まで惜しみなく公開してたのが興味をそそった。懐かしくて買ってみたら、書きおろし分があったのね。そこに紹介されているFlashでの作画術は、Flash 4によるものなんだが、今も変わらない。つまり、今読んでもタメになる本なのだ。


投稿者 A.e.Suck : 03:43 PM

February 13, 2006

大塚さんの話を聞く

アニメーション縦横無尽

大塚康生インタビュー アニメーション縦横無尽

大塚康生/森遊机(共著)
実業之日本社(ISBN 4-40861-255-3)
作画の現状や具体的なテクニック、東映長編時代やAプロ、テレコムなど現場の話がたっぷり。「作画汗まみれ」も補完してくれる。大塚さん相手にインタビュアーがマニアックな話を投げかけるギャップがおかしい。「マモー」の技術解説は面白かったけど。こんな話聞けないよ、普通。


作画汗まみれ

作画汗まみれ 改訂最新版

大塚康生(著)
文藝春秋(ISBN 978-4168122002)
増補改訂版の文春文庫版。巻頭カラーは大塚さんの線と画が味わえる「こねこのらくがき」「白蛇伝」「少年猿飛佐助」は本編やスチルでなく制作当時の大塚さんの画を掲載。「わんぱく王子」も大塚さんが描いたスチル。本文の図版も大幅に差し替えられ、お決まりのスチルでなく大塚さんが描いたものに限定されている。「長靴」「わんぱく王子」も大塚さんの原画カットから収録してる。


作画汗まみれ

作画汗まみれ 増補改訂版

大塚康生(著)
徳間書店(ISBN 4-19-861361-3)
アニメージュ文庫のパワーアップ版。「わんぱく王子」「ホルス」「旧ルパン」「コナン」「カリ城」合作の「ニモ」など、日本アニメ界の巨匠である大塚さんの、日動-東映-Aプロ-テレコムと、関わった仕事を振り返りながら、アニメーターとはこーゆーもんだってのが伝わってきます。ディズニー流と日本流、東映流と手塚流を比較しながらアニメーションのあり方についても述べられている。


投稿者 A.e.Suck : 02:02 PM

October 14, 2005

大御所の技

クリエーターのアニメ術

世界に発信!クリエーターのアニメ術

G9+1(著)
キネマ旬報社(ISBN 4-87376-262-6)
G9ってゆーユニットを結成した大御所アニメーター9人のインタビュー集と、オムニバスアニメ「東京ファンタジア」の絵コンテ全編。さらに、付録のDVDも凄かった。「東京ファンタジア」本編と、特典のメイキング・コメンタリー。これだけでも買う価値あり。さすが大御所たち、いいこと言ってる。東映出身の一色あづる氏は「Flash で作るより、絵を紙に描く行為が好き」と。わかる気がする。制作のテクニックも多いんで、アニメ作りを志す若者はこのDVD特典を見とくこと。


テレビアニメ魂

テレビアニメ魂

山崎 敬之(著)
講談社(ISBN4061497898)
ムービーでシリーズ構成やっとった人が書いた本。直接縁のなかった部門なんで、興味深い話が多かった。ムービーができたいきさつとか、企画からシナリオになるまでの裏話とか。ワシが原画やった作品でも、今更ながら「へえ〜」と。ただ、東映に疎いとゆーか、宮崎さんは「白蛇伝」に関わってないし、杉山卓と接点あんのか?大塚さんに触れないのもおかしい。


投稿者 A.e.Suck : 07:05 PM

November 22, 2004

歴史的な資料

日本漫画映画の全貌

日本漫画映画の全貌

大塚康生(監修)、松野本和弘(編集)、なみきたかし(編集監修)
日本漫画映画の全貌展実行委員会
2004年夏に東京近代美術館で開催された「日本漫画映画の全貌」の図録。多数の貴重な展示物を網羅した256ページで2500円。日本アニメ史上の宝と言える原画やイメージスケッチの数々を収録。ウマイ人の絵を見ることは刺激になるし勉強になるし重要なこと。 会場で本物を見れなかった人も、この本は見とけ。図録用インタビュー映像も公開されたよ。奥山さんと小田部さん。


日本のアニメーションを築いた人々

日本のアニメーションを築いた人々

叶 精二(著)
若草書房(ISBN4948755788)
初期の東映動画で中心となった大御所アニメーターたち、小田部さん、奥山さん、大塚さん、森康二さん、大工原さんの5人と、近藤喜文さんを紹介している。アニメーターになるまでや、作品歴・作風などが文献と取材で丁寧にまとめられていて、刺激になるし勉強にもなる。貴重な資料も多数収録。

祝!復刊ドットコムで復刊されました。


投稿者 A.e.Suck : 01:46 PM

September 06, 2003

ちょっとイイ本

The Fleischer Story

The Fleischer Story

Leslie Cabarga(著)
Da Capo Press(ISBN0306803135)
「ポパイ」「ベティ・ブープ」「スーパーマン」など、戦前の劇場用短編カートゥーンや「ガリバー旅行記」「バッタ君街へ行く」などのマックス・フライシャーとそのスタジオの作品を紹介した本。豊富な資料、設定の数々!ディズニー系とは違った歴史がたどれます。


Tex Avery

Tex Avery: The Mgm Years, 1942-1955

John Canemaker(著)
Da Capo Press(1570362912)
「ドルーピー」「スパイク」「デカ助チビ助」など、テックス・イヴリーがMGM時代に手がけた作品の豪華資料集!


Tex Avery: King of Cartoons

Tex Avery: King of Cartoons

Joe Adamson(著)
Da Capo Press(0306802481)
スクリューボール・アニメの王様、テックス・エイヴリーのすべて。キャラクター表やフィルモグラフィーなど満載。


投稿者 A.e.Suck : 11:23 PM
レイアウト
絵コンテ
絵コンテ集
デザイン