January 11, 2020

いまどきのアニメーション表現

アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門
アマゾンで『アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門』って本買って読んでたら、意外にもFlashの話も出ててびっくり。

アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門

アニメ制作者たちの方法

21世紀のアニメ表現論入門
高瀬康司(編)
フィルムアート社(ISBN 978-4-8459-1808-9)
アニメーションの新しい表現法(主に作画と撮影)についてのインタビューや対談いろいろ。制作現場のプロの話は説得力あるしタメになる。そして研究家のコラムや小論は小難しいけど、思ったよりいい本でした。例えば、24FPSで1コマ打ちって実写だとリアルなのに、アニメーションだとヌルヌルして見えるのを心理学的に解明できた片渕さんが3コマに至った理由を説明してくれてる。なるほどーって思った。 あと、After Effect主流のアニメーション撮影に『ほしのこえ』が与えた影響の大きさを感じた。AEは撮影台の代わりじゃないことを知らしめたというか。 Flashの話が出てくるのはWeb出身のアニメーターである「Web系アニメーター」の章。Web系には、ビデオコンテをFlashで作る監督とか、Flashでラフ作ってから紙に描く原画マンとかいて、彼らがFlashに拘るのは、絵よりは動きを作るのに適しているから。動きに拘るなら当然Flashに行き着くとありました。同意です!一方、原画までは紙で動画以降がFlashのサイエンスSARUに於ける、清書&中割り(彩色も)行うのがFlashアニメーターとなってました。 それから、3コマ打ちでコンタクトを描かないリアルなタイミングの作画を「タイムライン系作画」って言うそうなんですが、Flashのタイムラインからできた言葉だそう。知らんかった! この本には人名や作品名が当たり前のようにたーくさん出て来るので、思い当たらないものも多い。また、言葉だけで説明するよりも実際の絵を掲載してくれれば視覚的に理解しやすいのにって思った。逆に、せっかく具体的な図版があってもカラーじゃないのでわかりにくいのも残念。

Web系アニメーター

2〜3年の動画経験を経た従来の原画マンに対して、Flashでアニメーション作ってネットで公開して原画マンにスカウトされた人たちは「Web系アニメーター」と呼ばれてて、本来動画時代に学ぶスキルをFlashで身につけたってことですね。描いてすぐプレビューできるので身につくのも早いわけです。ベテランアニメーターのハイレベルな作画さえも追求できちゃう。 優秀なら貧乏な動画時代を送ることなく原画になれちゃうわけです。そこって重要で、原画マンとゆーか動きを描くの才能があってもその前段階の動画マン時代に潰れてちゃう可能性があるわけで、それじゃ人材も育たんよ。

Flashが普及しないわけ

この本では、従来のワークフローをデジタル化したRetasやアニメーション制作に特化したTVPaintと違って、Flashは異端だとしている。それは絵を描くよりは線を制御する感覚だし、本来Web制作のためのソフトなので作画専用ツールではないからだそうです。だから普及しないんかなー。元々お絵描きソフトにタイムラインがついたものだったんだけどいらん機能増えたからなー。Illustratorと違って、ベクターだけどラスターのような書き味だと思うんだがなあ・・・。開発したジョナサン・ゲイも紙と鉛筆をデジタル化したって言ってたし。 でもイイコト書いてあった!異端なのが逆に強みになってて、従来の制約を越えて前に進むのに役立つとのこと。そうそう!そこですよ!クリスタかTVPaintかなんて言わずにAnimate使ってみようよ〜!

夢の黄金フロー

FlashやAnimateで原画を描いたとしても、動画と彩色でも導入しない限り、黄金フローは成り立たない。原画マンがFlashやAnimateで描くついでに動画や彩色もやっちゃったら、もっとも効率いいし稼げる。ただ、それだと従来のシステムに合わず、動画や彩色の部門に仕事が回らなくなっちゃう。なので動画や彩色がFlash/Animateを使えたらいいんだけど。あとは相性のいいAEに渡してルックを調整してコンポ。AEの機能もどんどん進歩してるからね。元々FlashのSWFをベクターのまま読み込めるAEは、CC2019からFLAファイルをアーカイブとしてやレイヤーを保持して読み込めるようになったし。

補足資料

フィルムアート社のサイトに本書の補足資料が公開されてました。参考になると思います。

美術手帖 2020年2月号

特集が「アニメーションの想像力」ってことで、2010年代のアニメ史における革新について取材をまとめたもの。アニメ評論家の人たちの座談会以外はよかった。劇場やTVシリーズのスタッフだけでなく、ロトスコープの人や海外の個人作家まで、アニメーションに携わる人々に幅広く取材してて、技術的な話も多いし、その作品を知ってないとわかんない話もでてくる。フル3コマの磯光雄とFlash使い山下清悟の対談は生々しい。あと、川上雄介による『Fate/Grand Order』のレイアウトはBlender+Animateだってよ。64ページに写真が。
美術手帖 2020年2月号

Posted by A.e.Suck at January 11, 2020 10:47 AM