September 25, 2021

『カラミティ』観てきたよ!

カラミティ上映中

レミ・シャイエ監督の劇場用Flashアニメーション『カラミティ』、新宿バルト9で初日に字幕版を観てきました。吹替版、字幕版がそれぞれ1回ずつ上映されるんですが、当日はどちらも満席!2日前に席を確保しといてよかった!

初日鑑賞特典

初日鑑賞特典
新宿バルト9の初日鑑賞特典は『カラミティ』ポストカードと『アート・オブ・ロング・ウェイ・ノース』がもらえました。後者は前作『ロング・ウェイ・ノース』のアートブックで、51ページもある豪華な冊子でした。日本語訳も併記され、監督によるスケッチも何点も収録されてました。ちなみにこのアートブックは、リスキットの公式ショップで『アート・オブ・カラミティ』か『ロング・ウェイ・ノース』のBD/DVD買うとついてきます。

9月23日に新宿バルト9以外で観た方でもSNS上で申告すれば同特典がもらえたようです。

感想

1863年のお話。カラミティ・ジェーンと言えば、西部開拓時代の女ガンマンのイメージだけど、この映画ではガンマンに成長する話ではなかった。とゆーか、史実とはかなり違うっぽい。マーサ・ジェーンは11歳の時、旅団で開拓地のアイダホへ移動中、負傷した父親の代わりになろうとする。女が男の仕事をするなど許されず、疫病神(カラミティ)呼ばわり。泥棒の濡れ衣まで着せられ、単独で真犯人を追う。男っぽい容姿のマーサは旅団内で問題児でしたが、スキルを高めて認められようとする姿に感情移入しやすかったです。基本3コマ打ちの動きも物語も素晴らしく満足しました!追われてる時の「乗って!」もあったw 色彩は特に印象的で、水色の炎とか雲に混じった緑系とか風景を感じる。

馬車の下で寝るシーンや、焚き火での夕食シーンでは『母をたずねて三千里』(1976)のオープニング、「アンデスにーつーづくー、このーみちをー」を思い出しました。
カラミティと母をたずねて三千里
明るい夜空や水色の煙が斬新!

カラミティと幌馬車開拓地へのコンボイの描写ではジョン・フォードの『幌馬車』(1950)を思い出しました。旅団長のキャラも『幌馬車』のラッセル・シンプソンに似てますね。西部開拓時代のコンボイを描こうとすれば、『幌馬車』は参考資料に欠かせません。フランスのスタッフで参考上映したんかなー?ジョン・フォードの『駅馬車』はよく知られてるけど『幌馬車』もいい映画です。昔、LD買って観たんですけどね、今はAmazonプライムビデオで観れますよ。

メイキング with FLASH

キャラデザインが女の子にしては不細工で客ウケしなさそうだけど、監督曰く「アニメーション映画のヒロインのデザインでは、可愛らしさや美しさを強調されがちです。鼻は高くて眉も細く眼が大きいとか。出資者にもそれを求められます。しかし、眉が太くて鼻が大きくても、勇気があって活発で美しい少女は描けると思うのです」わかります!『カラミティ』は前作『ロング・ウェイ・ノース』と同じくFlashを中心にしたパイプラインで制作されてます。格調高く、ゴージャスで、美しいエンターテインメントなFlashアニメーションです。Flashによるアニメーション制作ではどこもそうですが、絵コンテから最終的なアニメーションまで、同一のFlashファイルが使われます。これがFlashを使う大きな利点のひとつです。シャイエ監督が開いたFLAから読み解いてみましょう。Flash CS6ですが、ツールパネルに見慣れないアイコンが・・・
絵コンテ
絵コンテは5人で担当してるとのこと。鉛筆ツールで線で描いてるみたい。色はブラシツールの背面をペイントでざっくり塗ってる
Vコン
絵コンテに時間を付加すればVコン(ビデオコンテ)になる。この時点でカットごとにまとまってるはず

作監のリアン=チョー・ハン氏によるストーリーボード

同じくストーリーボード。オレが最もお気に入りなアクションシーンのアニマティック。

ポージング
投げ縄の練習シーン。シャイエ監督はポージングと言ってるけど、絵コンテを元に描いたラフ原画かな、レイヤー分けしてるはず

アニメーションカット内のアニメーション。カットのシンボルにはカット袋のようなもので、アニメーションのシンボルや背景原図が含まれてると思われる。
これはアニメーションのシンボルを開いたところで、24FPSで3コマ打ち、2コマ打ちの部分もあるけど。レイヤーフォルダでまとめてレイヤー名もしっかりついてるな・・・この時点で線はない

塗りのチェック
このプロダクションの独自の工程。アニメーターが完成させた線のないアニメーションを見て、塗りだけで成立した絵にする部門。影を塗り分けて立体感を出す

完成アニメーション素材
完成したアニメーション。書き出しは背景とアニメーションを別々に書き出す。Photoshopへの自動書き出しツールを開発した。グレーで描かれた背景は背景原図としてPhotoshop班へ。アニメーションは素材としてAfter Effectsへ。
背景原図
書き出した背景原図にポージング(ラフ原)が残してある。背景のPhotoshop班は8人いる。シーンで同じ色調を保持するために、オートメーションという色調を自動変換するツールも開発したそうです

背景が上がったら撮影。After Effectsでアニメーション素材と背景をコンポジットして完成です。

関連サイト

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Blu-Ray & DVD発売

ウォルト・ディズニー・ジャパンから2022年4月20日発売です。日本語吹替え収録で、映像特典は、「メイキング映像」「監督インタビュー」「劇場予告編」となってます。

Posted by A.e.Suck at September 25, 2021 04:52 PM